初心者はスパイスカレーでトマト缶は使うな!
スパイスカレーのレシピを見ているとトマト缶を使うものも多く見かけますね。
ただこのトマト缶、厄介なんですよね〜。スパイスカレーに挑戦して、レシピ通りトマト缶を使ったのに、思ったように美味しくできなかった!なんて声も周りからちらほら。。。
僕自身も何度かトマト缶を使ってスパイスカレーをつくりましたが、完成したものはどことなくミネストローネのような味になっていました;
長期保存でき、味のばらつきもない便利なトマト缶ですが、既に煮込み加工がされているので、イタリア産トマトの酸味がかなり強調されています。調理しながら素材の旨みを引き出して、調和させていくスパイスカレーではすでに味が整ってしまっているトマト缶はちょっと主張が強すぎます。(トマト強め!にしたいなら構わんけど)
なのでやっぱり僕は、フレッシュトマトをお勧めします!
味にこそばらつきはありますが、調理しながら水分を飛ばしていくので味が馴染みやすいので、スパイスカレー初心者はまずはフレッシュトマトを使うべし。
みじん切りにして、しっかり炒めて水分を飛ばすことで旨味が引き立ち、他の食材と調和してくれますよ*
とはいえ、同じ味を作り続けたい僕のようなスパイスカレーマニアからすると、やはり味にバラツキがないトマト缶は少し魅力的。これを使ってうまくスパイスカレーが作れないかも試行錯誤しています。
これだ!ってレシピができたらご紹介しますね!
人生に少しだけスパイスを。
スパイスカレー作りの重要な引き立て役「塩」
めちゃくちゃ僕なりの理論ですが、前回スパイス料理において「積み上げ」を意識すると良いよ!とお話しました。
「積み上げ」の意識が頭に入ったら次は「引き立て役」について。
またまたフィーリングと妄想による僕の勝手な自論ですが、スパイス料理においての引き立て役はズバリ塩です。
塩は"味を足す"という役割のイメージが強いと思いますが、食材の旨味を"引き出す"役割も大きいんです。
レシピの全量の塩を適当なタイミング(とくに終盤)でどさっと入れるのはかなり勿体ない。塩は味付けの要素でもあり、なにより「引き立て役」だと僕は考えています。
僕のイメージとしては、
食材に塩を振ると水分が出る。味が薄まる水分が食材から出ていくので、食材の旨味が際立つわけです。下ごしらえの塩もみだけじゃなくて、調理中もこの作用は起きています。
前回のスパイスカレーの層を見ながら、塩を入れるタイミングを見てみましょう。
1層目:テンパリングでベースの風味を出す
2層目:玉ねぎを炒めて旨味を出す
塩少々
3層目:トマトを炒めて旨味と酸味を出す
塩少々
4層目:パウダースパイスでさらに風味を上乗せする
塩少々
5層目:メインの具材を入れ、煮込むことでメイン食材の旨味と食感を出す
塩少々
6層目:カスリメティやパプリカ、強調したいスパイスを加えて風味のメリハリと彩りを演出する
新しい食材を入れるタイミングで塩を振って、食材の旨味を出す。食材から出て来た水分を利用して全体と馴染ませる。そんなイメージです*
以前ご紹介したカレーのレシピと同じくらいの分量であれば1回あたりに加える塩の量は1mlくらいが一つの目安になるかと思います。
この塩の振り方をするとしないのとでは、玉ねぎやお肉など食材の旨味が全然違います。余分な水分が食材に残ってないので、孤立せず、料理に調和してくれるので是非お試しください*
人生に少しだけスパイスを。
「積み上げ」を意識するとスパイス料理が美味くなる。
カレーをはじめ、スパイス料理をうまく仕上げたいなら「積み上げ」を意識することをお勧めします!
僕らが普段料理を作る時は最後にどかっと調味料を入れることが多いかと思いますが、スパイス料理においては一気に調味料を入れると相殺して思うように風味が出なかったり、雑味が残って苦くなったりします。
それぞれのスパイスの役割を考えて、しかるべきタイミングで加えましょう。
ではスパイスカレーを例に、僕なりに考えた「積み上げ」について階層を追って紹介します。
1層目:テンパリングでベースの風味を出す
2層目:玉ねぎを炒めて旨味を出す
3層目:トマトを炒めて旨味と酸味を出す
4層目:パウダースパイスでさらに風味を上乗せする
5層目:メインの具材を入れ、煮込むことでメイン食材の旨味と食感を出す
6層目:カスリメティやパプリカ、強調したいスパイスを少し加えて風味のメリハリと彩りを演出する
理屈を少し覚えるとスパイスや食材を変えるだけでいろんなカレーやスパイス料理につかえるので頭の片隅にでも置いて見てください。
人生に少しだけスパイスを。
【レシピ】スパイスから作る麻婆豆腐
最近どうしても麻婆豆腐が食べたくて、思い切ってスパイスから作ってみました。
ホールスパイスをテンパリング、具材を炒める、水を入れて煮込む。の3-STEPを踏むあたりもはやカレーといっても過言ではないですね。豆腐入りキーマってとこでしょうか。笑
【スパイスから作る、麻婆豆腐】
<材 料>
●食材
玉ねぎ(中):1個 →みじん切り
豚ミンチ:200g
豆腐:1丁 →キッチンペーパーでしっかりと水切り
●スタータースパイス
クミンシード:1ml
マスタードシード:2ml
コリアンダーシード:5ml
乾燥山椒:2ml
鷹の爪:2本
●パウダースパイス
コリアンダーパウダー:3ml
カイエンペッパー:3ml
ニンニク:1片 →みじん切り
塩:少々
味噌:10ml
醤油:3ml
味覇:5ml
オリーブオイル:40ml
水:200ml
ごま油:3ml
<調理方法>
1.オリーブオイルを中火にかけ、クミンシードを2粒程度入れてみて、シュワシュワする温度まで温める。
2.スタータースパイスを入れ香りが立つまで炒める。(焦げないように注意!)
3.ニンニクを入れて、こちらも香りが立つまでさらに炒める。
4.玉ねぎを入れ、スパイスになじませたら塩を少々入れて強火にかける。
5.全体的に焦げ茶色になり所々黒くなりかけた頃に豚ミンチ、塩少々を入れ更に炒める。
6.豚ミンチに火が通ったら弱火にしてパウダースパイスと塩少々をいれ、全体になじませるように少し炒める。
7.味噌、水、味覇、醤油、豆腐を入れて中火にかける。
8.全体的に火が通ったらごま油をかけて完成
お皿に盛ったらネギやパクチーなどお好みの薬味をアクセントに加えると彩もよくなりますね。僕はカスリメティと追加でミル挽きの山椒を加えました。
スパイスを使っているのでカレーになりそうですが、中華でよく使われるスパイスをふんだんに使っているのでちゃんと中華風味になります*(味覇の力も大きいかも。笑)
あと、僕は糖質制限しているのでとろみはつけませんが、麻婆豆腐独特のとろみが欲しい人は水を水溶き片栗粉にすればOK。
人生に少しだけスパイスを。
スパイスカレーで旨味に困ったら。。。
スパイスカレーに挑戦し始めた当初「香りはものすごく美味しそうなのに味がしない」という悩みがありました。
スパイスと食材を買い込んで、友達とカレー合宿をやった時も、とにかく味が出なくて大量の塩を投入。でも深みが足りなくて食後の宴会用に買っていたお菓子からチョコレートを漁って投入。結局めっちゃスパイスの風味豊かな”あまじょっぱい何か”が出来上がりました。
今でこそ笑い話ですがあれは完全に失敗やったね!笑
すでにスパイスカレーに挑戦して、同じ悩みを抱えた人もいるかもしれませんね。。。
確かにチョコとかフルーツの甘みを使って厚みのある味にするのも一つの手なんですが、それに頼りすぎると訳のわからん味になる可能性も大です。
王道を話せば、テンパリング後の具材を調理する段階でしっかりと水分を飛ばして旨味を出すのが正解なんですが、形としてカレーが出来上がってしまうと後戻りはできません。
では、どうしたらいいのか?
答えはめっちゃ簡単。
ケチャップ入れたらなんとかなります。
冷ましたり、冷凍したりして再度加熱するという方法もありますが、カレー作った時って今すぐ食べたいですよね。じゃぁケチャップ入れましょう!
知り合いのインド人のママにカレーを教わったときも、旨味が足りなければケチャップ。カレーらしい風味が足りなければガラムマサラを入れて仕上げていました。
めっちゃ簡単やし、加工品を使うのでちょっと気が引けますが、チョコレートと塩を投入するより美味しいカレーに仕上がります。笑
ケチャップ入れちゃいなよ。
ところでケチャップって何やねん。と思いWikipediaで調べてみました。
「ケチャップは完熟トマトを加熱して漉し、さらに低温で煮詰めてトマトピューレを作る。それに、砂糖、食塩、酢、オールスパイス、クローブ、シナモンなどを加える。玉ねぎ、セロリ、その他の野菜がしばしば加えられる。」
玉ねぎ、トマトにスパイスいれたらもうカレーですね。笑
そりゃ、カレーの仕上げにはもってこいなはずです。
ということで旨味に困ったらケチャップを入れましょう。
余談ですが、カレーだけじゃなくて旨味を引き立てたい時はケチャップがオススメです。
つい先日STAUBでおでんを作った時もケチャップを入れたらとても美味しく仕上がりました^^(ケチャップの味はそこまで主張ありませんでした。)
人生に少しだけスパイスを。
ベースの風味を作る「テンパリング」という魔法
スパイスカレーを作る上でまず欠かせないのが「テンパリング」
スパイス料理のベースとなる風味を作るために必要不可欠な技法を今回はご紹介します*(ちなみに、僕が知人から教えてもらったときは「タルカ」という名前でした。)
テンパリングって聞いたこともないし、なんだか特別な所作な気がします?
実はそうでもないんです。ちょっと料理が好きな人なら以外と親しんでますよ*
ペペロンチーノを作るときにニンニクと鷹の爪をジワジワ炒めてオリーブオイルに香りをつけた経験ありますよね?
実はこの、スパイスを油で炒める行為こそが「テンパリング」なんです*
イタリアンにおいて、オリーブで炒めたガーリックの香ばしい風味が全を包むように、スパイス料理においては、クミンやグローブといったホールスパイスを油で炒める事でベースの香りが形成されるんです。
テンパリングしたホールスパイスの香りはパウダーやフレッシュのスパイスと違って、調理で風味が飛びにくくいのが特徴。なのでテンパリングをするのとしないのとで風味の厚みがまるで違うといっても過言ではありません。
僕自身、パウダースパイスだけでカレーを作ってた時は「なんか物足りないなー」とずっと思ってました。でもクミンのテンパリングを教えてもらって初めて作ったカレーがとても風味豊かで真のバシッと決まったカレーになったのを覚えています!
中火で熱した油にホールスパイスを入れて、シュワシュワと炒めるだけでOKなのですぐにマスターできると思います。
以下にテンパリングの一例をご紹介します。
●ニンニク、鷹の爪
肉のグリルやパスタ、スパイスレシピなど、幅広い料理に効果的。食欲をそそる風味と香りが特徴的。
●クミン、コリアンダー、グローブ
カレーを作るときに欠かせないホールスパイス。この3つをテンパリングするだけで本格的なカレーに近づきます。
●コリアンダー、マスタードシード
爽やかな風味が出るのが特徴。牛、豚、鶏などのグリルのほか、臭みのある魚の臭い消しにもオススメ。
スパイスを買うとカレー作りにしか使わないor使えない人が多いかと思いますが、テンパリングを使うと野菜炒めや焼飯、焼肉など色んな料理に応用できるので是非トライしてみてください*
僕はテンパリングして塩胡椒でお肉やお野菜を炒めるだねの手抜き料理にかなり救われてます。
カレーを食べる直前に、テンパリングしたオイルをかけて食べるのもオススメですよ!
人生に少しだけスパイスを。
【スパイス】僭越ながらスパイスの定義をしてみた。
スパイスカレーのレシピやスパイスの紹介を始めましたが、
「そもそもスパイスってなんやねん」っていう話をすっかり忘れていました。
本とか、スパイスセミナーで得た知識で、僕なりにスパイスの定義をしてみます。
<スパイスの定義>
芳香性植物の一部(種子、葉、華、樹皮など)で、人の生活に有益なもの
生活に有益というのは単に食用だけではなく、薬や染物、芳香材など様々な用途で利用されることも指します。
食用としてはカレー作りに欠かせない存在ですね。
その他の有用性として例を挙げると、ターメリックやサフランは仏教の僧侶の袈裟を染める染料として用いられたり、グローブやフェンネルシードはそのまま囓って歯周病や口臭予防に用いられたりします。
神様への奉納品としてウコンや胡椒が納められていたという歴史もあるくらいスパイスは人の生活に欠かせない・有益なものなのです。
まぁ僕らが関わっている社会では完全に食用としてピックアップされているので、美味しいところだけ恩恵を授かりましょう。
ちなみに僕なりのこの定義ではハーブもスパイスに含んでいます。
バジル、ローズマリー、パクチー、ローリエなんかもスパイスということです。
<スパイスの種類(状態別)>
スパイスは、生のままの「フレッシュスパイス」、乾燥させた「ホールスパイス」、ホールスパイスを焙煎・粉砕した「パウダースパイス」と状態別に分けることができます。(以下は代表例)
●フレッシュスパイス
ニンニク、パクチー、レモングラス、青唐辛子、など
●ホールスパイス
クミンシード、カルダモン、グローブ、シナモン、など
●パウダースパイス
ターメリック、コリアンダー、ナツメグ、など
タイカレーなどでは、フレッシュスパイスをすり潰してペースト状にしたものも使われます。
それぞれのスパイスの使い方は、またご紹介させていただきますね。
長くなったので今回はこの辺りで。
人生に少しだけスパイスを。